Photo & Essay

◎  ヴィーナスの誕生 

いつもとは変わった題ですが、
イタリア、フィレンツェのウッフィッツェ美術館に展示されている
有名な絵です。
画家はサンドロ・ボッテチェリ。


ヴィーナスの誕生

もう10年以上も前になりますが、
西洋美術史を通信教育で学んだことがあります。
そのときこの絵についてレポートを書きました。

図書館で
なるべく大きな写真が載っている本を借りてきて、
一生懸命に見ました。

そのときの発見を少し思い出してみますと、
ヴィーナスは生まれたばかりで、
全裸で岸辺に流れついたところのはずです。
だから「一糸まとわぬ」姿だとばかり思っていたら、
豊かな金髪が肩の上辺りで
紐で結わえてあります。
「エッ、一糸まとっている!」

絵の左側には
西風のゼフュロスが頬をふくらませて風を送っています。
そのゼフュロスにニンフのフローラが抱き付いて、
ピンクのバラの花を撒き散らしています。
この二人の脚はどうなっているのでしょう?
ニンフの脚は胴体とどうつながっているのでしょう?
この不可思議な4本の脚は頭に残っています。

先日、
ブログでお付き合い頂いている「マロニエのこみち…。さん」のところで
「不思議な大根」
の写真を拝見して、
この絵を思い出しました。
(青い文字をクリックして見てください)


グラニー

絵の中にピンクのバラの花が描かれていますので、
昨秋に撮った写真を載せておきます。
「グラニー」という品種です。

ヴィーナスを表す持物として、
いろいろな物があります。
番(つがい)の鳩、白鳥、帆立貝の貝殻、イルカ・・・
そして赤いバラもその一つです。


トップの写真を変えました。
小樽の夜景です。


◎  春 

昨日が節分で
今日は立春を迎えましたので、
それに因んで、
先日載せた「ヴィーナスの誕生」と共に有名な
サンドロ・ボッテチェルリの作品
「春(プリマヴェーラ)」を掲載します。


primavera

この絵にもヴィーナスが中央にいます。
ここではヌードでなくて赤い衣を着ています。
頭上に浮かんでいるのが、
ヴィーナスの子であるクピド(キューピッド)です。
この絵ではよく見えませんが、
クピドは弓に矢をつがえて薄絹の女性の一人を狙っています。
彼の矢に射られると恋に落ちてしまいます。
何しろ母親のヴィーナスは愛と美の女神なのですから。


プレイガール

このバラは「プレイガール」です。

ヴィーナスは愛と美の女神だけあって、
なかなかのプレイガールです。

ヴィーナスには夫がいます。
鍛冶神のウルカヌスです。
多情なヴィーナスは軍神マルスと不義の関係になりました。
そのことを太陽神アポロが見つけてウカルヌスに知らせました。
ウルカヌスは得意の鍛冶細工で目に見えないほど細い、
しかし強い、
真鍮の網を作って不義のベッドの上に仕掛けました。
二人は見事の捕らえられ、
重なったままで動けません。
大勢の神々が集められ、
大笑いされてしまいます。

悔しいヴィーナスはアポロに仕返しをしましたが、
そのお話は省略します。
他にも愛し合った男性は沢山いるようですが、
それも省略です。

美少年アドニスとの恋は
赤いアネモネに変身した話として有名です。

ヴィーナスが息子のクピドを抱き寄せてキスをしたとき、
誤って彼の矢が胸に刺さりました。
それによってアドニスを恋するようになってしまいます。
アドニスは狩が大好きでした。
それでヴィーナスはいいました。
「逃げる獲物は追ってもよいけれど、
向かってくる猛獣からは逃げなさい」

しかしアドニスは牙をむいて襲い掛かる猪に立ち向い、
股間を突かれて倒れます。
天空を白鳥が牽く車で走っていたヴィーナスは、
異変に気づいて降りますが、
時すでに遅く、
アドニスはヴィーナスに抱かれて息絶えます。
そして彼の血で染まった土からアネモネが咲き出しました。


こういうお話は「変身物語」という本に沢山書いてあります。


トランペッター

ヴィーナスを表すバラは、
(「ヴィーナスの誕生」ではピンクのバラが描かれていましたが)
彼女の血で染まった
赤いバラだそうです。
写真の赤いバラは「トランペッター」です。


◎  ヴィーナス 

ヴィーナスのことを書いてきましたので、
もう少し続けます。

眠れるヴィーナス

「眠れるヴィーナス」(1510年頃)
ヴェネツィアの画家、ジョルジョーネの作品です。

絵画や彫刻において、
ヴィーナスは裸婦と同義語といってもよいくらい
ほとんどの場合ヌードです。
古い時代には、
一般女性のヌードはいけないけれども、
神話を題材にして女神を描くことは許されていました。
それで芸術家はヴィーナスの名を借りてヌードを表現したわけです。
女神ですから理想化された、
美しい姿をしています。


ヴィーナスの誕生

「ヴィーナスの誕生」(1863年)
ボッテチェルリ以外の画家の作品を探してみましたが、
あまり出てきません。
これはカバネルというフランスの画家の作品です。

これはこれで美しいですが、
「ヴィーナスの誕生」はボッテチェルリが最高だと思います。



ヴィーナスの誕生について
ギリシャ神話からかいつまんでお話します。

大地の神であるガイアは単独で3人の子を生みましたが、
その一人である息子のウラノス(天)を夫として
18人の子供を生みます。
父親のウラノスは子供たちを嫌って、
一人残らずタルタロス(冥界)に閉じ込めてしまいました。

ガイアはこれを怒って、
子供たちの恨みを晴らそうと、
末子クロノスに金剛の斧を渡して、
父に復讐するように薦めました。

クロノスは夜に父ウラノスと母ガイアが重なっているところを襲い、
父の男根を切り落として海に投げ入れ、
父から支配権を奪い取りました。

このときウラノスの精液が海に滴り
その泡からヴィーナスが生まれました。
ヴィーナスは愛・美・豊饒・多産の女神です。

ヴィーナス(Venus)はローマ神話の女神ウェヌス(Venus)の英語読みです。
そしてウェヌスはギリシャ神話のアフロディーテ(Aphrodite)を同一視したものです。
だから一般的には、
「ヴィーナス」=「ウェヌス」=「アフロディーテ」になります。


mas,venus,cupid

「マルスとヴィーナスとキューピッド」(1808年)
オーストリアの彫刻家、キースリングの作品(大理石)です。

クピドはヴィーナスの息子ですが、
父親はヴィーナスの浮気相手、軍神マルスです。
クピド(Cupid)はアモール(Amor)ともいい、
ギリシャ語ではエロス(Eros)です。
Cupidを英語読みすればキューピッドです。

キューピッドについてもうひとつ。
彼は弓矢を持っていて、
その矢を受けると恋に落ちると前回書きましたが、
詳しくいうと2種類の矢を持っています。
金の矢は恋心をかきたてます。
鉛の矢は逆に恋心を去らせます。

男を金の矢で、
女を鉛の矢で、
射るとどうなるでしょう・・・

キューピッドはそういうことをやる
いたずらっ子です。


明日から1週間ほど休みますので、
よろしくお願い致します。


◎  ハイビスカス 

8日から11日まで沖縄へ行ってきました。

あちこちに咲いていたハイビスカスです。


ハイビスカス


ハイビスカス


ハイビスカス


ハイビスカス


羽田から那覇までANAの便で行きました。
「翼の王国」という機内誌を見ていたら、
ANAの社長さんの文が載っていました。

200年前の今月、
進化論で有名な英国の自然科学者、
チャールズ・ダーウィンが生まれています。
また著書の「種の起源」は、
出版から今年で150年になります。
その中で彼は、
環境への適応力に劣る個体が徐々に淘汰され、
適応力に優れた個体が生存、繁殖し、
その蓄積によって進化が起こるといっています。
「強いものや賢いものが残るのではなく、
環境の変化に対応したものが生き残る」
ということは、
生物に限らず、
企業などにも当てはまると思います。


最後の所はいかにも企業の社長さんらしい受け取り方だと思います。
私はそういう立場にありませんから、
生物についての受け止めです。

人間は今、
環境に対して急激な変化を与えています。
地球上の全生物を試しているかのように。
上の言葉を借りれば、
「強いものや賢いものが残るのではなく、
環境の変化に対応したものが生き残る」
のです。
人間自身は結局
「適応力に劣る個体」
になるのではないかと懸念しています。


昨2月12日がダーウィンの誕生日だったそうです。


◎  金沢文庫 

先週土曜日に、
金沢文庫へ運慶の仏像を観に行ってきました。

ここへは10年ほど前に行ったことがあって、
そのときは、
ガラガラに空いていたので、
今回もそのつもりで出かけたのですが、
結果的には「運慶」の名前の大きさを
今更乍ら思い知らされました。
つまり大変な混みようでした。


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運慶のことは、
写真もないので省かせて頂きます。


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その前日は春の暖かさでしたが、
当日は晴れてはいるものの、
風が冷たい日でした。

朝のラジオが「75年前の今日、2.26事件が起こりました」
と伝えていました。
その日の東京は大雪だったそうです。

品川から京浜急行に乗って、
多摩川を渡り、
川崎を過ぎて・・・
線路沿いにマンションが並んでいました。
好天の土曜日、
ベランダに洗濯物、布団が干してあります。
今日は漱石でなくて自前の句です。

2.26今年は晴れて布団干し

あの事件を境にして日本は戦争へ突き進んでいったそうです。
そんな歴史は繰り返したくありません。


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金沢文庫の後、
称名寺の境内を回って帰りました。
(その写真は次回に)
帰りの乗り換え駅のカフェでカプチーノを注文して、
ひと休みしました。
このカフェはいつもハートを乗せてくれます。


◎  ボジョレ・ヌーボー 

今日、ボジョレ・ヌーボーを飲んでみました。
(今年の解禁は11月15日だったそうですが)

昼食を頼んでから、
テーブルの上に書いたものがあるのに気が付きました。

「ボジョレ・ヌーボー」 グラス ¥500

ふと、飲んでみたくなって、
追加注文しました。


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飲食物を撮ることは滅多にないのですが、
撮ってみたくなりました。



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撮りたかったのは、
グラスの足元なのです。



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ついでにワインの方も撮りました。
半分飲んでから撮る気になったのですが・・・

赤ですが、
冷やしたありました。
美味しかったです。



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赤ワインに因んで、
赤い花のある風景です。



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花壇の花はサルビアです。

飲んだのは1杯だけですから、
こんな顔色にはなりませんでしたが・・・


◎  オスカー・ワイルド 

「アイルランド紀行」は終わりにしましたが、
まだアイルランド・モードから抜け切れていませんので、
アイルランドの作家、
オスカー・ワイルドのことを少し・・・

写真は、
6月中ほとんど撮っていませんので、
時期外れですが、
5月に撮ったバラを載せることに・・・


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オスカー・ワイルドという作家は、
イギリス人だと思い込んでいましたが、
今回アイルランドを旅したことにより、
アイルランド出身であることを知りました。



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オスカー・ワイルドは
ダブリンに生まれ、
トリニティ・カレッジを経て、
オックスフォード大学に進み、
首席で卒業しました。

作品では、
童話である「幸福の王子」がよく知られています。

小説は沢山書いていますが、
読んだことのあるのは「ドリアン・グレーの肖像」だけです。
怪奇小説風で面白かったです。

またフランス語で書かれた戯曲「サロメ」は、
オーブリー・ビアズリーの挿絵とともに有名です。
この戯曲は昔、
NHK ラジオの放送劇を聞いたことがありました。
サロメ役の声優が、
「ヨハネの首が欲しい」
と何度も何度も繰り返したのが耳に残っています。



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ヨハネの首に見入るサロメ。
(オーブリー・ビアズリーの挿絵)



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上に書いたことのネタは Wikipedia で仕入れました。
そこに「オスカー・ワイルド名言集」というのがありましたので、
2つだけ紹介します。

「外見で人を判断しないのは愚か者である」

「男は愛する女の最初の男になる事を願い、
女は愛する男の最後の女になる事を願う」


◎  愛蘭土 

先日、
司馬遼太郎の「愛蘭土紀行」(朝日文庫)を買ってきました。
旅行の前に読めばよかったのでしょうが・・・
(色付き文字は本からの引用)


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まだ読み始めたばかりですが、
「あ、そうなのか」ということがいくつかあります。
先刻ご存知の方は、
「そんなことも知らなかったのか」
とお思いでしょうが。



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この紀行の標題としては、
明治以来、
親しまれてきた「愛蘭土」という漢字の表記をつかうことにする。
緑へのイメージと愛がこもっていそうだからである。




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聖パトリック(アイルランドにキリスト教を広めた聖者)のお祭りには、
緑の服、緑の帽子をかぶるのだそうですが、
この緑はクローバーの葉の色。

聖パトリックはその島の人々に三つ葉のクローバーをかざしてみせた、
という。
「葉が三つにわかれているように見えるだろう。
だけど、
よくみると一枚の葉なんだよ」
つまり三位一体なんだよ、
といってこの難しい教義を説明した。
三位一体とは父(神)と子(イエス)と精霊はひとつのものだ、
というもので、
キリスト教の根本的な玄義の一つとされる。


とあって、
私は昔からこの精霊というものの意味がよくわからない。
と書いています。

司馬遼太郎さえ分からない三位一体は、
私に分かるわけがありません。



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三位一体を英語でいうと、
「トリニティ(Trinity) 」です。

アイルランドの首都ダブリンに、
数世紀の伝統をもつ名門の大学がある。
三位一体(トリニティ)カレッジという名の学校で、
その権威は世界に知られている。



アイルランドの色は緑。
その緑はクローバーの葉の色。
三つ葉のクローバーは三位一体。
それを説いたのは聖パトリック。

聖パトリックは布教にあたって、
土着の神々を認めたそうです。


◎  追悼 

今夜は写真仲間だったMさんのお通夜に行ってきました。
今年始めから病んでいたのだから、
仕方ないといえば、
仕方ないのですが、
私よりも若いのに何故?
と思ってしまいます。


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正面に彼の写真が飾ってある。
最近のものでない、
ちょっと若い。

額縁の中の彼は、
葬儀社が合成したのだろう、
黒服に黒ネクタイだ。

数年前に逝った年上の友の写真は、
笑顔のジャンパー姿で、
とてもよかったことを思い出す。

画家は、
よく自画像を描くが、
写真を趣味としている人が
自画像を撮るという話は聞かない。
まして、
自分の葬儀用の自画像を撮る人はほとんどいないだろう。

残された家族や葬儀社に任せないで、
自分で用意したらいいなと思った。
でも難しい!



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読経、焼香のあと、
寿司とビールと頂きながら、
同席した写真仲間と話した。

「Mさん、ビール好きだったのに、もう飲めないんだね」
「これで、もう会えないんだね」
「もう、話できないんだね」

年に数回の撮影会。
昨年の秋には一緒だったのに・・・
今年になって、
病んでいるとは聞いていたけど、
こんなに早く、
逝ってしまうなんて、
信じられない!


実は、
撮影例会が今日の予定だったのですが、
急遽中止して、
みんなでお通夜に参列しました。


◎  何に似ているでしょう? 

今日は「大寒」。
今迄だって、
充分寒いのに、
これからが一番寒い時期だといわれると・・・

そんな時期、
探せば春の気配も見つかりますが、
咲いている花も少ないし・・・

ということで、
木の幹や枝を撮ってみました。

こじつければ、
何かに似ているのではないでしょうか?


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◎  ほろびしもの 

「生まれたときから老化は始まっている」
といいます。
あらゆるものは、
老化し、
古びてゆきます。


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こういうものを見ると、
若山牧水の歌を思い出します。

かたはらに秋草の花語るらくほろびしものはなつかしきかな

写真の建物はまだ「滅び」てはいません。
滅び行く過程にあります。
建てたばかりの時は、
木の香が匂い、
持ち主に大切にされたことでしょう。

それが、
ここまで滅びかけてくると、
構われなくなり、
滅びの日を待っているかのようです。

やがてその日が来て、
取り壊され、
整地された後で、
懐かしんでもらえるのでしょうか?

ちなみに、
牧水が歌った「ほろびしもの」とは、
彼の恋(つまり失恋)だったそうです。



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